日本で生活する外国人の方にとって、最も不安なことの一つが「在留資格(ビザ)の取り消し」ではないでしょうか。
「入管から通知が届いたら、もうおしまいだ」と絶望してしまう方も多いですが、実は、入管法(出入国管理及び難民認定法)には、「取り消し事由に該当していても、個別の事情によっては在留が認められる」という救済の道が残されています。
今回は、在留資格が取り消されないケースや、万が一の際の対処法について解説します。
1. 「取り消し事由=即・強制送還」ではない
意外に知られていないことですが、在留資格の取り消しは「必ずしなければならない(義務)」ではなく、「取り消すことができる(裁量)」ものとされています。
入管法第22条の4では、入管(法務大臣)は外国人の個別の事情を総合的に判断し、「日本に引き続き在留を認めるに足りる相当な理由がある」と判断した場合には、在留資格を取り消さないという運用を行っています。
2. 在留が認められる具体的なケース
どのような場合に「相当な理由」があると認められやすいのでしょうか。主な例を挙げます。
① 別の在留資格に該当する活動をしている場合
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の資格で働いていた人が、会社を辞めてから一定期間(3ヶ月以上など)仕事をしていなかったとします。本来これは取り消し事由(第22条の4第1項5号〜7号付近)に該当します。
しかし、その間に実は別の仕事(別の在留資格に該当する活動)を始めており、その新しい仕事で在留資格の変更申請を行えば許可される見込みが高い場合、入管は現在の資格を取り消さずに、変更申請を受け付けてくれることがあります。
② 「日本人の配偶者等」で、やむを得ない事情がある場合
離婚などを理由に配偶者としての活動を6ヶ月以上行っていない場合も取り消しの対象となります。しかし、例えば「配偶者からDV(家庭内暴力)を受けていて避難していた」「子供の養育のために日本に留まる必要がある」といった正当な理由がある場合、入管は在留資格の変更や、場合によっては永住申請の機会を与えるよう配慮することになっています。
③ 本人が16歳未満の場合
住居地の届出をしていなかった場合でも、その外国人が16歳未満であれば、届出をしなかったのは本人ではなく保護者の責任(義務不履行)であるとみなされ、取り消し手続きが中止されることがあります。
3. 「意見聴取」という大切なチャンス
在留資格の取り消し手続きが始まると、事前に入管から「意見聴取通知書」という書類が届きます。これは、「あなたの言い分を聞く時間を設けます」という通知です。
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何ができるのか: 指定された日に出入国在留管理局へ行き、自分の事情を説明したり、証拠となる資料を提出したりできます。
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なぜ重要か: ここで「なぜ活動ができなかったのか」「今はどのような活動をしているのか」を論理的に説明し、認められれば、**「不処分(取り消さない)」**という決定を勝ち取れる可能性があるからです。
4. 万が一、通知が届いたらどうすべきか?
入管からの通知を無視したり、諦めて何もせず放置したりするのが一番のリスクです。
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すぐに専門家に相談する: 行政書士などの専門家は、どのような書類を準備すれば「在留を認めるべき理由」として認められやすいかのアドバイスが可能です。
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証拠を集める: 仕事を探していた証拠(ハローワークの利用記録など)、病気であれば診断書、家庭の事情であればそれを証明する公的書類など、客観的な資料を揃えましょう。
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早めに行動する: 意見聴取までの期間は非常に短いです。届いたその日から準備を始める必要があります。
まとめ:諦めずに正しい手続きを
在留資格の問題は、人生を左右する大きな出来事です。しかし、日本の法律は、真面目に日本で暮らそうとする人に対して、事情を考慮する仕組みも持っています。
「自分はもうダメだ」と思い込まず、まずは現在の状況を整理し、適切な法的手段を検討しましょう。