日本で研究者として働きたい、あるいは高度な研究スキルを持つ外国人を採用したいと考えたとき、最初に直面するのが「どの在留資格(ビザ)を申請すべきか?」という悩みです。
実は、日本で「研究活動」を行うためのビザは、活動する場所や契約形態、さらには報酬の有無によって、複数の種類に分かれています。これを知らずに間違ったビザを申請してしまうと、審査が長引いたり、最悪の場合は不許可になったりするリスクがあります。
今回は、特に間違いやすい「研究」ビザと、それに関連する「教授」「技術・人文知識・国際業務」などの違いについて、分かりやすく噛み砕いて解説します。
1. そもそも「研究」ビザとは?
「研究」という在留資格は、主に日本の政府機関や企業(民間企業)、独立行政法人などの施設において、契約に基づいて研究を行うためのものです。
例えば、製薬会社の研究所や、自動車メーカーのR&D部門で働く研究員などがこのビザに該当します。
ここがポイント!
-
場所: 企業や公的な研究機関など(大学以外)
-
内容: 基礎研究、応用研究、製品開発のための試験や調査など
2. 「研究」ビザと間違えやすい3つのケース
資料にある通り、「日本で研究をする=すべて研究ビザ」ではありません。以下のケースでは、別のビザが必要になります。
① 大学で研究する場合は「教授」ビザ
大学や高等専門学校(高専)などで研究を行う場合は、たとえ内容が高度な研究であっても「教授」の在留資格になります。
-
例: 日本学術振興会(JSPS)の外国人特別研究員として大学の施設を利用する場合など。
-
注意: 大学から報酬をもらわず、外部の機関から報酬を得て大学の施設を使う場合も「教授」に該当する可能性が高いです。
② 実務に近い活動は「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザ
民間の会社で、その会社のビジネスに直結するような開発業務を行う場合は、「研究」ではなく、いわゆる「技人国(ぎじんこく)」ビザになることが多いです。
-
研究ビザ: 新しい理論の構築や、中長期的な基礎研究。
-
技人国ビザ: 既存の技術を使った製品設計、システム開発、マーケティングに基づいた商品化など。
③ 報酬をもらわない場合は「文化活動」または「短期滞在」
ボランティアでの研究や、自分の貯金や奨学金(実費程度)だけで研究を行う場合は、就労ビザである「研究」は取得できません。
-
文化活動: 収入を伴わない学術的な研究。
-
短期滞在: 90日以内の短い期間で行う調査など。
3. 【新制度】特定活動(告示36号)という選択肢
法務大臣が指定する「特定研究機関」で研究を行う場合、通常の「研究」ビザよりも柔軟な活動が認められる「特定活動(告示36号)」という選択肢もあります。 これには、高度な専門知識を活かして研究を行うだけでなく、その研究成果に関連する事業を自分で経営するといった、幅広い活動が含まれます。
知っておきたい!「研究」ビザに関するQ&A
読者の方が特によく迷われるポイントを3つピックアップしました。
Q1. 「研究施設」で働いていれば、職種に関わらず「研究」ビザが取れますか?
A1. いいえ、取れません。 たとえ勤務場所が最先端の研究所であっても、実際に行う業務が「事務」や「翻訳」「施設の管理」などであれば、その業務内容に合った別のビザ(技人国など)を申請する必要があります。ビザは「どこで働くか」よりも「何をするか」が重要です。
Q2. 企業の研究員として採用されましたが、たまに大学で講義を頼まれました。可能ですか?
A2. 本来の「研究」活動がメインであれば、報酬を得て副業的に教育活動を行うには「資格外活動許可」が必要になる場合があります。 ただし、その活動が「高度専門職」ビザに該当するような優秀な方の場合は、手続きが簡略化される優遇措置もありますので、専門家に相談することをお勧めします。
Q3. 修士号や博士号を持っていないと「研究」ビザは取得できませんか?
A3. 学位は重要な判断材料ですが、必須ではありません。 基本的には大学卒業以上の学歴、または10年以上の実務経験が必要とされます。ただし、研究ビザを申請するようなケースでは、高度な専門性が求められるため、多くの方が修士・博士号を保有しているのが実情です。
アドバイス:スムーズな許可取得のために
「研究」ビザの審査では、「その研究が日本で行われる必要性」や「受け入れ機関(会社など)の安定性」が厳しくチェックされます。また、研究内容が複雑すぎて入管の審査官に伝わらないと、追加資料を求められて時間がかかってしまいます。
少しでも不安がある方は、ぜひ一度VISA専門の行政書士にご相談ください。