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~在留資格~犯罪と退去強制の関係・強制送還になるケースと回避策解説

日本で暮らす外国人の方々にとって、最も避けたい事態は「ある日突然、日本にいられなくなること」ではないでしょうか。日本の入管法(出入国管理及び難民認定法)には、特定のルールに違反した外国人を強制的に本国へ帰す「退去強制」という制度があります。

多くの方は「自分は真面目に生活しているから大丈夫」と考えています。しかし、実は「え、こんなことで?」と思うような些細なトラブルや、知識不足による行動が、退去強制の引き金になるケースが少なくありません。今回は、特に入管法第24条に定められた「犯罪と退去強制」の関係について、どこよりも詳しく解説します。

1. 「知らなかった」では済まない不法就労のリスク

まず、最も身近なリスクが「仕事」に関するものです。

資格外活動の「専ら(もっぱら)」という落とし穴 留学生や家族滞在の方が、許可された時間を超えてアルバイトをしたり、禁止されている風俗営業のお店(スナックやバーも含む)で働いたりすることは、法律違反です。 ここで注意すべきは、単に「時間を守ればいい」というだけではない点です。裁判例では、学業をおろそかにして生活費のほとんどをアルバイトで稼いでいるような場合、「本来のVISAの目的(留学など)が変わってしまった」とみなされ、退去強制の対象となることがあります。たとえ成績が良くても、活動の実態が「仕事メイン」になっていれば、入管は厳しい判断を下します。

不法就労を助ける行為も「犯罪」です 自分が働くだけでなく、友人に不法な仕事を紹介したり、不法就労を手伝ったりすることも「不法就労助長行為」として退去強制の理由になります。この規定は非常に幅広く適用されるため、軽い気持ちで「仕事を探している友達を助けただけ」という言い訳は通用しません。

2. 薬物犯罪は「一発アウト」の厳しい現実

日本の法律が最も厳しく対応するのが「薬物犯罪」です。

大麻、覚醒剤、麻薬などの所持や使用、譲渡に関わると、その時点で日本での生活は終わると考えてください。

  • 執行猶予がついても関係なし: 通常、懲役刑を受けても「執行猶予(刑務所に行かなくて済む期間)」がつけば社会復帰できます。しかし、薬物犯罪の場合は、執行猶予がついたとしても、判決が確定した瞬間に退去強制の対象となります。

  • 再入国の壁: 薬物犯罪で退去強制になった場合、将来的に日本へ戻ってくることは極めて困難になります。これは「上陸拒否事由」という別の厳しいルールにも該当するためです。

3. 懲役・禁錮刑と「1年」のボーダーライン

一般の犯罪(窃盗、暴行、傷害、詐欺など)を犯してしまった場合、退去強制になるかどうかは「判決の内容」で決まります。

原則としての「1年超」ルール 入管法第24条4号リでは、昭和26年以降に「1年を超える懲役または禁錮」の判決を受けた場合、退去強制になると定めています。ただし、この場合は「執行猶予」がついた人は除外されます。つまり、実刑(刑務所に入ること)になった場合が対象です。

特定のVISA保持者にはさらに厳しい「1年未満」ルール しかし、注意が必要なのが「技術・人文知識・国際業務」や「技能」「留学」などの在留資格(別表第1の在留資格)を持っている方です。これらのVISAの方は、特定の犯罪(住居侵入、偽造、賭博、殺人、傷害、逮捕監禁、窃盗、強盗、詐欺、恐喝など)を犯した場合、たとえ刑期が1年未満であっても、また執行猶予がついたとしても、退去強制の対象になります。

一方で、「日本人の配偶者等」や「定住者」「永住者」などのVISAを持っている方は、この「1年未満の犯罪」による退去強制ルールからは除外されています。持っているVISAの種類によって、守られる範囲が異なるのです。

4. 売春関連業務と人身取引

売春に関わる業務(場所の提供や勧誘など)に従事した場合は、裁判の判決を待たずに入管当局が事実を認定した段階で退去強制の手続きが始まります。また、人身取引の被害者となっている場合は保護の対象となりますが、加担している側(教唆・幇助)であれば、厳しく処罰されます。

5. 最後の望み「在留特別許可」とは

退去強制の事由に該当してしまったとしても、日本に家族がいたり、日本で長年誠実に暮らしてきたなどの深い事情がある場合、法務大臣から特別に日本滞在を認められる「在留特別許可」という制度があります。

ただし、これは「当たり前にもらえる権利」ではありません。

  • 日本人の配偶者や子供がいるか

  • 犯した罪の重さはどの程度か

  • 日常生活での素行はどうか

  • 出入国在留管理庁のガイドラインに沿っているか

これらを総合的に判断されます。単純なオーバーステイに比べて、犯罪が絡むケースでの許可獲得は非常にハードルが高いのが現実です。


これ知りたかった!納得のQ&A

Q1:万引き(窃盗)で捕まり、罰金刑になりました。これでも退去強制になりますか?

A:一般的に、懲役や禁錮ではなく「罰金刑」であれば、すぐに退去強制の対象(第24条該当)にはならないことが多いです。ただし、将来のVISA更新や永住申請の審査では、素行に問題があると判断され、不許可になる原因になります。「強制送還されないから大丈夫」ではなく、日本でのキャリアに大きな傷がつくと考えてください。

Q2:喧嘩で相手に怪我をさせてしまい、執行猶予付きの懲役判決を受けました。私は「技術・人文知識・国際業務」のVISAですが、どうなりますか?

A:非常に危険な状態です。専門職などのVISAをお持ちの方は、傷害罪などの特定の罪であれば、執行猶予がついても退去強制の対象になります。判決が確定する前に、まずは行政書士や弁護士といった専門家に至急相談し、今後の対策を練る必要があります。

Q3:退去強制の手続きが始まると、すぐに飛行機に乗せられるのですか?

A:いいえ、まずは入管の施設に収容されるか、あるいは「仮放免」という形で一時的に外にいられる状態になります。その後、審判や異議申し立てというステップを経て、最終的な判断が下されます。この手続きの途中で自分の事情をしっかり主張することが、日本に残るための最後のチャンスとなります。


まとめ:あなたの日本での未来を守るために

日本の法律は、外国人の皆さんが思っている以上に、犯罪に対して「毅然とした」態度を取ります。一度失った信頼と在留資格を取り戻すのは、並大抵のことではありません。

もし今、何らかのトラブルに巻き込まれていたり、自分の行動が法律に触れないか不安だったりする場合は、手遅れになる前に専門家に相談しましょう。

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