有益な情報

外国人が日本で亡くなったら?死亡届の手続き・ビザの注意点を解説

日本で暮らす外国籍の方が増える中、予期せぬ不幸に見舞われるケースも少なくありません。大切な家族や友人が日本で亡くなった際、「まず何をすればいいのか?」「母国への連絡や遺体の搬送はどうなるのか?」と不安に思うのは当然のことです。

この記事では、日本国内で外国人が死亡した際に必要な公的手続きの流れを、初心者の方にも分かりやすく解説します。


1. まず最初に行うべきこと:市区町村への「死亡届」

日本に住んでいる外国人が亡くなった場合、国籍を問わず、日本の法律に基づいて手続きを行う必要があります。最も重要なのが、亡くなったことを自治体に知らせる「死亡届」の提出です。

どこに届ける?

亡くなった方の住民票がある(住民登録をしている)市区町村の役所に提出します。もし旅行中などで住民票がない場所で亡くなった場合は、亡くなった場所の役所でも受け付けてもらえます。

期限はいつまで?

死亡の事実を知った日から「7日以内」に提出しなければなりません。これを過ぎると過料(罰金のようなもの)を科される可能性があるため、早めの対応が必要です。

必要な書類は?

医師が発行する「死亡診断書」または「死体検案書」が必要です。これらは死亡届の用紙と一体になっていることが多いため、病院から受け取ったらそのまま役所へ持参します。


2. 役所から発行される「受理証明書」の重要性

役所に死亡届が受理されると、その証明として「死亡届の受理証明書」や「死亡届記載事項証明書」を発行してもらうことができます。

これらは単なる控えではなく、その後の手続きで非常に重要になります。

  • 母国の大使館・領事館への報告

  • ご遺体を母国へ搬送するための許可申請

  • 日本国内での銀行口座の解約や保険金の手続き

  • 日本での火葬の許可(火葬許可証の発行)

「記載事項証明書」は、死亡届そのものの写しに近い公的な証明書であり、特に国際的な手続きではこちらが求められることが多いため、数部余分に取得しておくと安心です。


3. 日本政府から母国への通知ルート

日本で外国人の死亡が確認されると、役所から自動的に関係機関へ情報が連携される仕組みがあります。

  1. 市区町村役場が死亡届を受理。

  2. その情報が法務局へ通知される。

  3. 法務局から外務省(領事局外国人課)へ連絡が行く。

  4. 外務省が、亡くなった方の母国の駐日大使館・領事館へ死亡の通知を行う。

このように、政府間での情報共有は行われますが、ご遺体の引き取りや母国での戸籍整理、遺品整理などについては、ご遺族や友人が自ら大使館と連絡を取り合って進める必要があります。


4. 知っておきたい「遺体搬送」と「火葬」のルール

日本で亡くなった場合、そのまま日本で火葬するか、ご遺体のまま母国へ送り出す(遺体送還)かを選択することになります。

  • 日本で火葬する場合:役所に死亡届を出す際、「死体火葬許可申請書」を併せて提出します。許可証がないと火葬場は利用できません。火葬後、お骨を母国へ持ち帰る場合は、航空会社への申告や大使館での証明書発行が必要になる場合があります。

  • 遺体送還する場合:ご遺体に防腐処置(エンバーミング)を施し、特殊な棺に納める必要があります。これには多額の費用(通常数十万〜百万円単位)がかかるため、加入している保険(旅行保険や社会保険)の適用を確認してください。


5. あわせて確認すべき公的ルール

ここからは、政府や出入国在留管理庁の指針に基づいた、非常に重要な補足情報です。

① 在留カードの返納

亡くなった方がお持ちだった「在留カード」は、死亡から14日以内に出入国在留管理局へ返納しなければなりません。返納は、郵送で行うか、最寄りの入管窓口へ直接持参します。 (参照:出入国在留管理庁「在留カード等の返納」

② 家族のビザ(家族滞在など)への影響

もし亡くなった方が「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザで家族を呼び寄せていた場合、残された家族の「家族滞在」ビザは、扶養者が亡くなったことで該当性を失うことになります。そのまま日本に住み続けるには、別のビザ(定住者など)への変更を検討しなければなりません。早急に専門家へ相談することをお勧めします。

③ 健康保険と年金の手続き

亡くなった方が社会保険や国民健康保険に加入していた場合、葬儀費用を補助してくれる「葬祭費(埋葬料)」の給付制度があります。また、厚生年金に加入していた期間が長い場合は、遺族年金を受け取れる可能性があります。


 Q&Aコーナー

Q1:亡くなった友人に身寄りがありません。私が死亡届を出してもいいですか?

A:はい、可能です。 法律上の「届出義務者」には、親族だけでなく、同居人や家主、地主、あるいは後見人も含まれます。それらの方がいない場合は「死亡した場所の管理者」も届け出ることができます。友人として付き添っていた場合でも、状況に応じて役所が受理してくれます。まずは事情を役所の窓口で説明しましょう。

Q2:母国へ遺体を送る費用が払えません。どうすればいいですか?

A:まずは加入保険の確認と、大使館への相談を。 民間の海外旅行保険や生命保険には「遺体送還費用」が含まれていることが多いです。また、日本で働いていた方なら社会保険から「埋葬料」が出ることもあります。どうしても費用が工面できない場合は、日本国内で火葬し、お骨(遺骨)として航空便等で送る方が費用を大幅に抑えられます。

Q3:観光ビザ(短期滞在)で来日中に亡くなった場合も同じですか?

A:基本の手続きは同じですが、より大使館の協力が必要です。 住民登録がない短期滞在者であっても、日本国内で亡くなった以上、日本の役所への死亡届は必須です。ただし、住民票がないため「死亡診断書」の準備や大使館での手続きがより複雑になります。すぐに母国の駐日大使館へ連絡し、サポートを求めてください。


まとめ

外国籍の方が日本で亡くなった際の手続きは、言語の壁や制度の違いもあり、非常に困難を感じるものです。しかし、一歩ずつ順を追って進めれば必ず完了させることができます。

  1. 市区町村への死亡届提出

  2. 証明書類の取得

  3. 大使館への報告と連携

もし、残された家族のビザの変更や、入管への届け出など、法的な判断が必要な場合は行政書士のような専門家に相談しましょう。

-有益な情報