日本で学ぶ留学生の皆さん、毎日の勉強にお疲れ様です。日本での生活にはお金がかかりますよね。「もう少し自由に働けたらいいのに」「YouTubeで発信して収益を得たい」「Uber Eats(ウーバーイーツ)の配達なら時間が自由だからやってみたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、日本のビザ(在留資格)には、非常に厳しいルールがあります。良かれと思って始めたことが、将来のビザ更新や「技人国(技術・人文知識・国際業務)」への変更、さらには将来の永住申請にまで悪影響を及ぼす可能性があるのです。
今回は、留学生が絶対に知っておくべき「資格外活動(アルバイト)」のルールについて、難しい法律用語を抜きにして、皆さんの目線でわかりやすく解説します。
1. そもそも留学生は「働くためのビザ」ではない
まず、大前提として知っておいてほしいのは、皆さんが持っている「留学」というビザは、あくまで「日本で勉強するためのもの」だということです。本来、働くことは認められていません。
それでも、学費や生活費を補うために、特別に認められるのが「資格外活動許可」です。これがあるからこそ、皆さんは週に28時間以内のアルバイトができるようになります。
出入国在留管理庁の基本ルール
資格外活動許可を得た場合、原則として週28時間以内であれば、職種を問わず働くことができます(風俗営業などを除く)。
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留学生・家族滞在のアルバイト基礎知識!「資格外活動許可」の注意点を徹底解説
2. Uber Eats(ウーバーイーツ)の配達員は「アルバイト」ではない?
最近、非常に多い相談が「Uber Eats(ウーバーイーツ)や出前館などの配達なら、会社に雇用されていないから28時間ルールは関係ないですよね?」というものです。
答えは「NO(ノー)」です。むしろ、アルバイトよりも厳しいリスクがあります。
ウーバーイーツなどの配達員は、会社に雇われる「給与所得者」ではなく、個人で仕事を引き受ける「個人事業主(業務委託)」という扱いになります。
なぜ個人事業主だと危険なのか
入管の考え方では、個人事業主として活動する場合、「28時間働いた」という証明が客観的に難しくなります。待機時間も含めるのか、アプリをオンにしている時間だけなのか。入管から「資格外活動の範囲を超えて、勉強がおろそかになっている」と疑われたとき、明確な給与明細がないため、反論するのが非常に困難です。
また、個人事業主としての活動は、実質的に「経営」や「営業」に近いと判断される場合もあり、本来の「留学」ビザの目的から大きく外れていると見なされやすいのです。実際に、配達業務をやりすぎてビザの更新が不許可になった事例も増えています。
3. YouTuber(ユーチューバー)としての収益化はOK?
「日本での生活を動画にしてYouTube(ユーチューブ)にアップし、広告収入を得たい」という相談も増えています。
これについても、注意が必要です。 単なる趣味で動画を投稿しているだけであれば問題ありませんが、広告設定をして「継続的に収益を得る」状態になると、それは「労働」とみなされます。
注意すべきポイント
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資格外活動許可の範囲内か: 収益が発生している以上、動画制作や編集にかかっている時間は、週28時間の枠に含まれると考えるべきです。
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活動の継続性: たまたま一回バズって数円入ったというレベルではなく、毎月決まった収入を得るために活動しているなら、それは立派な「仕事」です。
勉強時間を削ってまで動画編集に没頭し、多額の収益を得ている場合、「あなたの本来の目的は勉強ですか?それともクリエイター活動ですか?」と入管から問われることになります。
4. 「週28時間」の本当の計算方法
「週28時間」というルールは、皆さんが思っている以上に厳格です。よくある勘違いを整理しましょう。
どこから数えても「週28時間以内」
例えば、「今週は月曜から日曜までで28時間」と考えてはいけません。入管のチェックは「どの7日間を切り取っても28時間以内」である必要があります。 また、複数のバイトを掛け持ちしている場合は、すべてのバイト先の合計時間です。A店で20時間、B店で10時間なら合計30時間となり、完全にアウト(不法就労)です。
長期休暇(夏休み・冬休み)の特例
大学や専門学校が定めた「長期休業期間」に限り、1日8時間以内、週40時間以内まで働くことができます。 ただし、これは学校が公式に決めている休み期間中だけです。自分が勝手に授業を休んでいる期間は含まれませんので注意してください。
5. 絶対にやってはいけない!禁止されている職種
週28時間以内であっても、留学生が絶対に働いてはいけない場所があります。それが「風俗営業」に関連する仕事です。
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パチンコ店での清掃やホールスタッフ
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ゲームセンターのスタッフ
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キャバクラ、ホストクラブでのキッチンや掃除、ティッシュ配り
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ラブホテルの清掃
これらの場所では、たとえ「お皿洗いだけ」「掃除だけ」であっても、働くことは一切禁止されています。もしこれに違反すると、その場で退去強制(強制送還)になる可能性が極めて高く、二度と日本に戻ってこれなくなる恐れもあります。
6. 税金と健康保険から「バレる」仕組み
「現金でもらっているからバレない」「ウーバーイーツなら大丈夫」と思っているかもしれませんが、それは大きな間違いです。
今の日本は、マイナンバー制度や税金のシステムが非常に発達しています。 皆さんがどこでいくら稼いだかという情報は、市役所や税務署を通じて、最終的に入管に伝わります。ビザの更新や変更の際、入管は皆さんの「課税証明書(いくら税金を払っているかの書類)」を確認します。
年収が一定額を超えている場合、「この年収を得るためには、週28時間以上働かないと無理だよね?」と計算され、オーバーワークが発覚します。
7. 将来「技人国」ビザに変えたいなら、今すぐ守るべきこと
卒業後、日本で就職して「技術・人文知識・国際業務(技人国)」などの就労ビザに切り替えたいと考えているなら、今のアルバイト状況は非常に重要です。
就労ビザへの変更申請の際、過去のアルバイト状況がチェックされます。ここでオーバーワークが発覚すると、いくら優秀な企業から内定をもらっていても、ビザが不許可になります。
「少しくらい大丈夫だろう」という甘い考えが、日本でのキャリアをすべて台無しにしてしまうのです。
8. 知っておきたい!「Q&A」で解決
読者の皆さんが特に関心のあるポイントをQ&A形式でまとめました。
Q1:Uber Eats(ウーバーイーツ)の配達中、注文を待っている「待機時間」も28時間に含まれますか?
A: はい、含めて考えるのが安全です。入管の実務上、アプリを稼働させていつでも働ける状態にある時間は「労働時間」の一部とみなされる可能性が高いです。個人事業主の場合、時間の管理は自己責任。厳しめに管理しておかないと、更新時に説明がつかなくなります。
Q2:春休みから新学期が始まるまでの期間は、週40時間働けますか?
A: 学校の規則によります。学校が公式に「春休み」と定めている期間内であれば、週40時間まで可能です。ただし、卒業後の「待機期間(次の学校に入るまで)」や、学年が終わってから新学期が始まるまでの「正式な休みではない期間」については、学校の事務局に必ず確認してください。
Q3:YouTubeの収益が海外の口座に振り込まれる場合は、日本での「労働」にはなりませんか?
A: いいえ、日本に在留しながら活動している以上、どこで収益を受け取っても「日本での活動」とみなされます。入管の審査では、お金の流れだけでなく「日本で何をして過ごしているか」が重要視されます。収益が発生する活動は、すべて資格外活動のルールに従う必要があります。
まとめ:不安があれば専門家に相談を
日本での生活を守るためには、ルールを知ることが第一歩です。 「みんなやっているから大丈夫」「先輩が大丈夫だと言った」という言葉を信じてはいけません。入管法は年々厳しくなっており、以前は許されていたことが、今は許されないケースもたくさんあります。
もし、自分の働き方がビザに影響しないか不安になったり、将来の就労ビザへの変更をスムーズに進めたいと思ったりしたら、すぐに入管業務の専門家である行政書士に相談してください。