日本で暮らす外国人の方が、母国への里帰りや観光で日本を離れる際、最も気をつけなければならないのが「再入国」のルールです。
何も手続きをせずに日本を出国してしまうと、今持っている在留資格(ビザ)が消滅してしまい、再び日本に戻るにはまたゼロからビザの申請をやり直さなければなりません。これを防ぐための仕組みが「再入国許可」と「みなし再入国許可」です。
1. 「みなし再入国許可」とは?
2012年から導入された制度で、「1年以内に日本に戻ってくる予定なら、事前の申請はいりませんよ」という非常に便利な仕組みです。
対象となる方
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有効なパスポートと在留カードを持っている中長期在留者
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特別永住者(特別永住者の場合は、出国から2年以内)
手続き方法
空港の税関を抜ける際、「再入国出国記録(再入国EDカード)」という小さな紙にチェックを入れるだけで完了します。
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カードにある「1. 一時的な出国であり、再入国する予定です。」という項目に必ずチェックを入れてください。
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審査官に在留カードを見せながら、「みなし再入国で出国します」と伝えればスムーズです。
【重要:注意点】
みなし再入国許可の有効期限は「出国から1年」です。もし在留期限が1年以内に切れる場合は、その期限までとなります。最大のリスクは、「海外で有効期限を延ばすことが一切できない」という点です。
2. 事前に取得する「再入国許可」とは?
一方で、1年を超えて長期間日本を離れる場合は、出国前に「地方出入国在留管理局」へ行き、あらかじめ許可をもらっておく必要があります。
メリットと特徴
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有効期間が長い: 最大5年(特別永住者は6年)までの期間が設定できます。
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海外で延長が可能: 万が一、病気や家庭の事情で戻れなくなった場合、現地の日本大使館などで有効期間の延長申請が可能です。
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手数料がかかる: 1回限り(シングル)なら3,000円、何度でも使える(マルチ)なら6,000円の手数料が必要です。
3. どちらを選ぶべき?比較表でチェック
どちらを使うべきか判断基準をまとめました。
| 比較項目 | みなし再入国許可 | 通常の再入国許可 |
| 事前申請 | 不要(空港で完結) | 必要(入管へ行く) |
| 有効期間 | 出国から1年(または在留期限まで) | 最大5年(または在留期限まで) |
| 海外での延長 | 絶対に不可能 | 理由があれば可能 |
| 手数料 | 無料 | 有料(3,000円〜6,000円) |
| 向いている人 | 短期の旅行、法事、一時帰国 | 長期の海外赴任、留学、兵役など |
4. 「失敗しないためのアドバイス」
よくあるトラブルに、「在留カードを忘れて空港に行ってしまった」というケースがあります。
みなし再入国を利用するには、物理的に有効な在留カードを提示することが絶対条件です。「スマホの中に写真があるから大丈夫」という理屈は通用しません。忘れた場合は、その場で出国を諦めるか、再入国許可なしで出国(=ビザを捨てる)することになってしまいます。
また、在留期限が残り少ない方も注意が必要です。例えば在留期限まであと3ヶ月しかない場合、みなし再入国の期限も3ヶ月になります。
疑問を解決!Q&Aコーナー
Q1. 飛行機のチケットが取れなくて、1年を1日でも過ぎたらどうなりますか?
A. 残念ながら、ビザは完全に消滅します。
「みなし再入国」で出国した場合、1秒でも期限を過ぎると救済措置はありません。日本に入国するためには、再び「在留資格認定証明書(COE)」の交付申請からやり直す必要があります。少しでも1年を超える可能性がある場合は、出国前に必ず入管で「通常の再入国許可」を取得してください。
Q2. 「再入国許可」を事前に取っているのに、空港で「みなし」にチェックしたらどうなりますか?
A. 基本的には「みなし再入国」が優先されます。
空港の審査官は、あなたがどちらを希望するか確認しますが、EDカードの「みなし」欄にチェックをすると、事前に取った5年有効の許可は使われず、1年限定の「みなし」として処理されることがあります。長期滞在の予定で事前に許可を取った方は、カードのチェック箇所を間違えないように注意しましょう。
Q3. 在留資格の更新申請中に、みなし再入国で一時帰国しても大丈夫?
A. はい、可能です。
ただし、審査の結果が出るまでに日本に戻っている必要があります。万が一、海外にいる間に「ハガキ(通知)」が届いても、本人が不在では受け取れません。更新申請中の方は、特例期間(期限から2ヶ月)も含めたスケジュール管理を専門家と相談することをお勧めします。
まとめ
短期の帰国であれば「みなし再入国許可」で十分ですが、「1年以内に絶対戻れる保証があるか」を自分に問いかけてみてください。
「念のために」と、事前に通常の再入国許可(マルチ)を取っておく慎重な方も多いです。
不安な点がある場合や、手続きの取次を希望される場合は、ぜひ行政書士にご相談ください。