日本で働きたい外国人の方や、採用を予定している企業の担当者様の中には「ビザの申請(在留資格認定証明書交付申請)をするときに、まだ正式な契約書を作っていなくても大丈夫ですか?」という疑問を持つ方は多いでしょう。
結論から言うと、必ずしも「正式な雇用契約書」そのものが必須というわけではありません。しかし、それに代わる「ある書類」が非常に重要になります。今回は、審査に通りやすくするための書類の作り方や、注意すべきポイントを詳しく見ていきましょう。
1. ビザ申請時に「契約書」の代わりになるものとは?
出入国在留管理局(入管)への申請時に最も大切なのは、「どのような条件で雇用されるのか」が客観的に証明されていることです。
法律的には、必ずしも製本された立派な「雇用契約書」である必要はありません。代わりに「労働条件明示書」という書類を提出することで、申請は可能です。
労働条件明示書に記載すべき必須項目
入管の審査官は、以下のポイントが適切に定められているかをチェックします。
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業務内容: 大学の専攻やこれまでの経歴と、仕事の内容が一致しているか。
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給与額: 日本人が同等の仕事をする場合と同じ、あるいはそれ以上の報酬であるか。
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雇用期間: いつからいつまで働く契約なのか。
これらがしっかり記載されていれば、まだ正式なハンコをついた契約書が手元になくても、申請を進めることができます。
2. 「不許可」のリスクを減らす「停止条件付」のテクニック
企業側としては、「もしビザが不許可になったら、雇用契約はどうなるのか?」という不安があるはずです。逆に、ビザが出る前に正式な契約を交わしてしまうと、法律的なトラブルの元になることもあります。
そこで実務でよく使われるのが、「停止条件付」の雇用契約という手法です。
「条件付き」とはどういうこと?
簡単に言うと、「国から働く許可(ビザ)が下りた日から、この契約は有効になります」という一文を契約書に添えることです。
具体的には、契約書の「雇用開始日」の項目に以下のように記載します。
「本契約は、地方出入国在留管理局より就労資格の許可を受けた日から効力を生じるものとする。」
このように記載しておくことで、もし万が一ビザが下りなかった場合に、会社も本人も無理な契約に縛られることがなくなり、安心して申請準備を進めることができます。
3. 入管がチェックする「公的な判断基準」
ここで、肉付けの情報として法務省(出入国在留管理局)が公開しているガイドラインの内容を補足します。
在留資格「技術・人文知識・国際業務」の審査では、申請人と受入れ機関(会社)との間の契約が「継続的・安定的」であることが求められます。
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報酬の妥当性: 厚生労働省が発表する統計データ等に基づき、不当に低い給与設定になっていないか厳しく見られます。
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実務の関連性: 契約書に書かれた「通訳」「翻訳」「エンジニア」などの職務内容が、会社の事業規模に対して本当に必要な量があるかどうかも判断材料になります。
単に「契約書があるからOK」ではなく、「その仕事が本当に存在するのか」を証明する書類(事業計画書など)を併せて準備することが、許可への近道です。
4. 知っておきたい!よくある悩み解決Q&A
Q1. 内定通知書(オファーレター)だけでも申請はできますか?
A1. はい、可能です。 ただし、内定通知書の中に「給与」「勤務地」「労働時間」「業務内容」が詳しく書かれている必要があります。もし記載が不十分な場合は、別途「労働条件通知書」を作成してもらうようにしてください。
Q2. 契約書を交わした後に、給料が変わったらどうなりますか?
A2. 原則として、入管に届け出た内容と変わる場合は再審査や変更の手続きが必要になる可能性があります。 特に、申請時よりも給料が下がってしまうと「虚偽の申請」と疑われるリスクがあるため、契約内容は慎重に決定してください。
Q3. アルバイトから正社員になる場合、今の契約書をそのまま使えますか?
A3. いいえ、新しく作り直す必要があります。 「技術・人文知識・国際業務」はプロフェッショナルな仕事に対するビザです。アルバイトとしての労働条件ではなく、高度な業務を行う正社員としての「新しい労働契約」を証明しなければなりません。
まとめ:スムーズなビザ取得のために
今回のポイントをまとめると以下のようになります。
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正式な契約書がなくても「労働条件明示書」があれば申請は可能。
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ビザが取れてから契約を有効にしたい場合は「条件付き」の文言を入れる。
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給与額や仕事内容は、入管のガイドラインに沿って正しく設定する。
ビザの申請は、書類の一文字の違いで結果が変わってしまうこともある非常にデリケートな手続きです。もし「自分のケースでどんな書類を準備すべきかわからない」という場合は、早めに専門家へ相談することをお勧めします。