「今の会社を辞めて、フリーランスとして働きたい」 「自分のスキルを活かして、個人事業主として独立したい」
そんな夢や目標を持っている外国籍の方は少なくありません。しかし、いざ独立を考えたときに大きな壁となるのが「在留資格(ビザ)」の問題です。
「フリーランスになったら、今のビザは取り消されるの?」 「独立したら、すぐにビザを『経営・管理』に変えないといけないの?」
こうした不安を抱えたまま進めてしまうと、最悪の場合、在留資格が取り消されたり、更新ができなくなったりするリスクがあります。
今回は、現在「技術・人文知識・国際業務」のビザをお持ちの方が、個人事業主として独立・活動する際のポイントと、守るべきルールについて分かりやすく解説します。
1. 個人事業主でも「技術・人文知識・国際業務」は維持できるのか?
結論から言うと、会社を辞めてフリーランスになったからといって、直ちに「技術・人文知識・国際業務」のビザが使えなくなるわけではありません。
このビザの本来の目的は、日本で「知識や技術を要する専門的な業務」を行うことです。たとえ雇用契約ではなく、企業と個別に業務委託契約を結んでいる場合でも、その業務内容が専門的なスキルを必要とするものであれば、現行のビザのまま継続して活動できる可能性があります。
ただし、これには明確な条件があります。
-
継続的な契約: 単発の仕事ではなく、企業と継続的に契約を結んでいること。
-
安定した収入: 一般的に、生活の安定を示すためにも、月額20万円以上の収入を安定して得られる見込みがあること。
もし、単に「なんとなくフリーランスになった」というだけでは、入管側から「日本で専門的な活動をしている」と認められず、在留資格の更新が許可されない可能性が高くなります。
2. 「技術・人文知識・国際業務」から変えるべきケースとは?
一方で、個人事業主になった瞬間に、ビザの種類を「経営・管理」に変更しなければならないケースもあります。ここが非常に重要です。
-
自分で経営判断を行う場合: 単に専門スキルを売るだけでなく、事務所の場所を選んだり、備品を買ったり、事業の方向性を自分で決めたりと、「経営者」としての役割が強くなる場合です。
-
人を雇って事業を拡大する場合: ここが特に注意点です。自分以外の人を雇ってビジネスを回す場合、その活動は「技術・人文知識・国際業務」の範囲を超えているとみなされます。この場合は「経営・管理」ビザへの変更が必要です。
「少し手伝ってもらう程度ならいいか…」と安易に人を雇ってしまうと、それは入管法上の「資格外活動」や「資格変更の届出漏れ」と判断され、重大な違反になることがあります。
3. 独立準備で絶対に忘れてはいけない手続き
個人事業主として活動をスタートする際、入管に関すること以外にも、公的な手続きが必要です。
-
個人事業の開業届出: 開業日から1ヶ月以内に、管轄の税務署へ提出してください。
-
契約機関に関する届出: 今まで勤めていた会社を辞めてフリーランスになった場合、「所属機関に関する届出」を入管に行う必要があります。離職後、あるいは新しい活動を開始してから14日以内に手続きを行いましょう。
【Q&A】よくある質問を解消します
Q1. 個人事業主になったら、すぐに「経営・管理」ビザに変えないとダメですか?
A1. いいえ、必ずしもそうとは限りません。あなたがこれまで培った専門スキルを活かし、企業と業務委託契約を結んで働くのであれば、「技術・人文知識・国際業務」のままで活動できるケースは多いです。ただし、事業内容や形態によって判断が分かれますので、まずは専門家に相談することをおすすめします。
Q2. 友達を1人雇って仕事を手伝ってもらいたいのですが、今のビザで問題ありませんか?
A2. 残念ながら、それはNGです。「技術・人文知識・国際業務」は、あくまで「あなた自身の専門的スキル」を活かすための資格です。他人を雇って商売をする場合は「経営・管理」ビザへの変更が原則必要です。手続きを怠ると、ビザ更新ができなくなるリスクがあります。
Q3. フリーランスとして働く際、どれくらい稼げばいいという基準はありますか?
A3. 明確な法律上の金額は決まっていませんが、入管は「日本で自立して安定した生活ができるか」を審査します。一般的には、月額20万円以上の安定した収入が継続的に得られる見込みがあるかどうかが、許可の判断における一つの目安となります。
最後に
日本での独立は、キャリアの可能性を大きく広げるチャンスです。しかし、在留資格のルールは非常に複雑であり、一度違反をしてしまうと挽回が非常に困難です。
「私の場合はどちらのビザでいくべき?」 「契約書の内容は今のビザでも問題ない?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひVISA専門の行政書士に相談しましょう。